アルズガルムは、魔法のある世界です。
また、多くの人が魔法使いとなって生きている世界です。
しかしその他のことについては、世界単位でものを語るのは非常に困難です。
なぜなら、アルズガルムは世界中を空間の歪みによって分断されていて、いまだ孤立した小さな世界として閉塞している地域がほとんどであるためです。
空間の歪み、あるいは亜空間と呼ばれるものは、断崖の淵の底のような暗闇であったり、あるいはあらゆる物体を通さない空間の隔絶だったり、
または、明らかにアルズガルムの大地と異なる世界が口を開ける風景であったりします。
共通しているのは「入っていったものが二度と戻ってこないこと」。
一度だけ、とある魔法使いが使い魔の鳩を飛ばし、その鳩の羽が風に乗って帰ってきたことがありますが、それ以外には誰も、何も、帰ってきた試しがないのです。