TRPG「魔法使いと工房と庭」のルールブックwiki。魔法使いとなって自分の工房と庭を構え、依頼をこなして成長していくゲーム。

シナリオ概要

このシナリオでは、魔法でいっぱいの「夢の舞踏会」を行うための魔法の品をPCたちに作成してもらいます。
セッションの最後には、納品された品を用いて「夢の舞踏会」が開催され、PCもRPで参加できます。

最後に舞踏会に参加してワイワイ騒いで終わることを考えると、PC人数は2〜3人いた方が楽しいかと思われますが、ソロプレイでも特段の問題はありません。

本ページは「すぐに使えるシナリオテキスト」を主旨として、コピー&ペースト可能なテキスト集として書いています。
細かい部分は、お好みで自由にアレンジしてお使いください。

シナリオの舞台について

シナリオの舞台は、「星明りの町ラムペリエス」、ソロプレイ用ルール「旅の魔法使い」で設定されている「旅先」の一つです。

【星明りの町ラムペリエス】(移動必要額150G)
一年のうち、日が昇る日が数日しか来ない常夜の町。魔法具の中でも灯火類の生産が盛んであり、休むことなく煌々と輝く町の灯りが美しい。
夢魔法の第一人者で立派な白髭が有名な老爺、グランマ・ルドヴィコが魔法使いたちを取りまとめている。

  • 灯りの魔法
地理上の理由から、昼がなく、夜がずっと続く町です。
ランプ、ろうそく、カンテラ、(魔法由来の)電灯などで町中が輝いていますが、繁華街のような明るさではなく、生活に寄り添った温かさを感じる明かりです。

  • 夢の魔法
灯りとともに夢の魔法も盛んであり、四六時中あたりを飛び交う夢を捕まえるとか、誰かの夢に入る、それを防ぐ、など、夢に関する魔法が発達しています。
この町のグランマはそうした夢魔法の第一人者です。

  • 経済レベル
旅をする場合、町を出るのに必要な資金は「滞在にかかる費用、移動にかかる交通費」を念頭に置いて設定されています。
ラムペリエスの場合は150Gであり、他と比べて高くもなく安くもなく、経済レベルとしては普通の町です。

物語の導入

町の描写〜物語の始まり


今夜の舞台は、星明りの町ラムペリエス。

この町では1日のほとんどが夜ですが、軒先には鮮やかな色ガラスで飾った古風なランプが並んでいて、いつでも町中が輝いています。
大小様々なランプの合間を妖精の燐光がすり抜けていく様は幻想的で、まるで夢の中のよう。
誰もが自分勝手な時間に寝起きしているので、寝静まるということがありません。
大通りは常に露店が開いていて、お店の閉店時間もバラバラ。宵の口がいつまでも続いているような、そんな町です。

さて、今夜のあなたがたは、この町の魔法使いたちを指導するグランマ・ルドヴィコによって呼び集められ、古書店街の奥にひっそりとたたずむ《魔法使いギルド》へとやってきました。

ルドヴィコ「やあ、やあ。よく来たね。入って入って、好きな椅子に座って。」
扉を開けるなりグランマ自らに案内され、やわらかなソファ、ふかふかのクッションがいっぱいの客間へと通されます。
解説
シナリオの舞台となる町の描写と、依頼パートの舞台となる部屋、依頼者のグランマの描写を行い、魔法使いたちが席に着いたら、依頼パートを開始します。
導入の描写を終えたら「席に着いたら依頼パートです。自由にご参加ください!」の一言があると、PLが入ってきやすいでしょう。

部屋の中の様子、グランマの人柄

ソファの合間には小さなテーブルがそこかしこに置かれ、ランプや鳥籠、地球儀など様々なものが置かれています。
見上げれば、いくつものシャンデリアが花房のように吊られ、部屋中をあたたかい光が満たしています。

ルドヴィコ「クッションも自由に使って構わないよ。その羊のクッションなんか、おススメだね。」

皆さんを迎えるグランマ・ルドヴィコは、立派な白髭をふんわり垂らした優しげなお爺さんです。
その姿は一見するとオフシーズンのサンタクロースのようでもありますが―――彼も、れっきとしたグランマなのです。
解説
部屋の中の様子やグランマの人柄は、できれば描写しておいた方がPLがRPしやすくなるでしょう。
ただし、序盤はGMのテキスト量が多くなりがちなので、無理に入れる必要はありません。

シナリオで想定しているグランマ・ルドヴィコの人柄は、「常識的で、穏やかなおじいちゃん」です。

依頼パート

依頼品の指定


「さて、今日集まってもらったのは、とある舞踏会の準備のためさ。」
「僕の古い友達の頼みでね。近々、魔法の舞踏会を開くんだ。」
「魔法具、使い魔、それから霊薬。実に、色々用意しなければならないんだよ。」
「さすがに手が足りなくて、手伝ってほしくてねえ〜」

紅茶をずびびと啜りながら、おじいちゃんグランマは笑います。
解説
GMは以下の表から任意の品を選んで、依頼品として提示してください。
初心者PLが相手の場合、各PCの実力が発揮しやすい=精錬設備でプラス補正を得られるものを提示すると良いでしょう。
特に考えないで提示してもそれほど大きなデメリットはありませんが、依頼をする側としては、得意な人に頼む方が自然です。
種別依頼の品支給品
魔法具霊魂を呼び集める【反魂呼子笛】陶器の小笛
魔法具夢を集めて映し出す【千夜一夜灯】古びたアルコールランプ
使い魔鳥の使い魔を使った【鳥たちのオーケストラ】鳥30羽
使い魔猫を使い魔にした【猫のウェイター】猫10匹
霊薬一時的に幽体離脱できる【夢遊びの霊薬】小瓶に入った妖精の涙

舞踏会について


ルドヴィコ「とびきり賑やかにやるのさ。ただ会場がちょっと辺鄙なところでね。」
ルドヴィコ「生きた人間以外のお客も呼んでやらなくちゃ、席が埋まらないってわけ。」
解説
あまり詳しいことは言わないようにしましょう。

使い魔NPCの参加、支給品の提示


「では、支給品を渡そう。ウィスプ!ウィスプ、おいで!」
「……いないな、このへんか?」

グランマは何やら床に並んでいる空のカンテラを逆さに振り始めます。
3つ目を振り振りしていると、ぺしょっ……と膝に何かが落ちてきました。

クラゲのウィスプ「ぷわわ」

ルドヴィコ「頼んでおいたもの、出してくれる?支給品、支給品。」

(支給品の提示)

ルドヴィコ「僕の使い魔、ウィスプっていうの。連れて行っていいよ。ちょっとしたお話くらいはできるから。」
ルドヴィコ「手伝いはできないけどね。どうしても相談したいことや、聞きたいことがあったら僕宛に伝言を頼んでみて。」

クラゲはフワフワと宙に浮いて、魔法使いたちの前まで来ると、ぷるりと震えます。

ウィスプ「オハヨウ?」

ルドヴィコ「さあ、いってらっしゃい。」
解説
NPCとしてグランマの使い魔を登場させ、PCたちに支給品を渡しましょう。
NPC使い魔はPCたちの工房や庭についていき、RPで場に参加します。
NPCの設定や口調は自由にして構いませんが、グランマの口調(穏やかなおじいさん)と差が出るようにしましょう。

  • NPC使い魔の役割
NPC使い魔の参加は、GMも楽しくゲームに参加するためというのが一番ですが、
採集〜精錬パートでGMがゲーム進行を補助するためでもあります。
ゲームの中でうまく参加できていないPCにRPで絡んだり、PC同士がぶつかった場合に間に入るなど、ゲームの進行を助けると良いでしょう。

  • NPC使い魔は、手伝い判定には基本的に参加しない
手伝い判定の数が多くなると、ゲームのバランスが簡単になるためです。
PL3人の場合は、NPCが手伝うと過剰です。
PL人数が1人の場合は、NPC使い魔が手伝い判定をしてもいいでしょう。


移動中

《魔法使いギルド》からPCの工房、納品場所へと移動する間の描写です。
余裕があるなら、PCごとの工房の立地に希望があるかどうかを聞いてみて、描写に反映してみるといいでしょう。
訊いてみるとだいたい、「町はずれにある」「裏路地にある」などの希望が出ます。

町の大通り

町を東西に分ける大通りには、色とりどりの灯りを点けたワゴンが並び、夜の闇を賑やかに彩っています。
お菓子のワゴンは赤やオレンジのランプ。
サンドイッチのワゴンは緑のカンテラを付けていて、派手な電飾を付けているのは玩具売りのワゴンでしょうか。
魔法の小道具を売るワゴンは、紫の火が灯る蝋燭を軒先に並べています。
解説
1回目は純粋に町の雰囲気を描写します。
PCが望むなら、買い食いしておやつを食べたり、自由に振る舞わせて構いません。

高台からの眺め

今度は町の南を回って、高台の小道へ。
途中、町の夜景を一望できる展望公園を通ります。
町中が明るい光で満たされていますが、北の一角だけは灯りがなく暗い場所があるようです。

ルドヴィコ「北の方だけ暗いだろう?あれはね、旧王族の宮殿跡なんだよ」

クラゲのウィスプからグランマ・ルドヴィコの声が聞こえてきます。

ルドヴィコ「王族がこの町にいたの、もう60年も前なんだよねえ。それから打ち捨てられちゃって、立派な宮殿も今はすっかり廃墟さ。」

ウィスプを通して聴こえるグランマの声は、どこか懐かしむような声色を帯びています。
解説
2回目は「廃墟の宮殿跡」「旧王族」の存在を示します。
この町にはかつて王族が住んでいましたが、今は王権が解体しており、かつての宮殿が廃墟となっています。
グランマも高齢なので、当然、その時代を知っています。

廃墟の宮殿は、物語の最後で、夢の舞踏会の会場となる場所ですので、移動中に存在を示しておきます。

商店街

路地を抜けて、町の中でもとびきり明るい光に満ちた商店街へ。
ランプや蝋燭など、灯りを売る店が多く並ぶ中、枕や布団など寝具の店も目立ちます。
この町の人々は、いつでも夜、好きな時に寝る生活を送る反面、寝つきの悪い人が多いとか。
そんな悩みを解消すべく、ラムペリエスには数多くの高級寝具店が軒先を連ねているというわけです。
解説
3回目も、純粋に町の雰囲気を描写します。


納品パート

納品は、廃墟の宮殿跡で行われます。
移動回数を省略したい場合、使い魔を使って瞬間移動させましょう。

納品場所への移動

クラゲのウィスプ「オワッタ!ジャア うぃすぷ ツレテク」

依頼品がすべて揃ったのを見て、ウィスプがにわかに膨らみ始めます。
ふわふわ、ぷわぷわ。
クラゲが全員を包み込むほどに膨らむと、全員、薄青い光で視界が塞がれることでしょう。
目が開く頃には、3人とも見慣れない廃墟———町の北、宮殿跡の、大広間に到着しています。

ルドヴィコ「やあ、お疲れ様。できたみたいだね。それじゃあ、納品をしてもらうよ。」

(PCは納品のRP,品質の申告、GMは報酬の付与を行う)

大広間の中央には魔法具がいくつも置かれ、一方の壁の前にはたくさんの使い魔が控えています。
頭上にはシャンデリアも吊られて、舞踏会の準備は着々と進んでいるようですが、客の姿だけは……車椅子の老婆が只一人。
老婆は相当の高齢と見え、うつらうつらと舟を漕ぎ、意識も定かでない様子ですが、その姿からは気品が感じられます。
服装でしょうか、顔つきでしょうか。不思議な高貴さを感じさせる、おばあさんです。
解説
舞踏会の会場で納品が行われます。
「禁術を見抜く」という必要性から、納品のチェックはグランマが行いますが、信頼された部下などが代行しても構いません。

基本的には、舞踏会の参加者は「車椅子の老婆」のみです。
介添え人がいても構いませんが、今晩の舞踏会は彼女のためにのみ、開かれます。
老婆は非常に高齢で死期が近い様子であり、あまり会話ができませんが、高貴な生まれであることが察せられます。
設定上は、旧王族の最後の姫君(またはそれに相当するもの)であると考えてください。

夢の舞踏会

グランマは報酬を渡し終えると、魔法具をまとめあげて【千夜一夜灯】を動かし始めます。
灯りがあるばかりで伽藍としていた廃墟の大広間に、にわかに人影が集まり始め、使い魔のオーケストラが演奏を開始します。
みるみるうちに着飾った人影でいっぱいになり、皆さんはその中心に立ち尽くしているというわけです。

ルドヴィコ「まだまだ。主賓を呼ばなくちゃね」

グランマは【反魂呼子笛】を口に当てると、涼やかな音を立ててまじないの旋律を奏でます。
まもなく、大広間の人混みが割れて、凛とした佇まいの紳士が歩み寄ってくるのが見えるでしょう。
振る舞いのひとつひとつに高貴さを滲ませる彼は、車椅子の老婆へ微笑みを向けると、まっすぐに歩いていきます。

ルドヴィコ「さあ、シャーリー。ダンスのお誘いだよ。」

グランマは【夢遊びの霊薬】を老婆の手に握らせ、優しくそっと飲ませます。
一時のかげろうに身を任せる、幽体離脱の霊薬。
すっくと立ち上がるのは、もはや高齢の老婆などではなく、美しい貴婦人です。

彼女が紳士の手を取ると、オーケストラの演奏がよりいっそう華やかな曲調へと変わります。

さあ、舞踏会の始まり。魔法使いたちも、今なら過去の影とともに夢の一時を過ごすことができるでしょう。

ラムペリエスの町の中で唯一、灯りの付かない北の廃墟。
それが今夜だけは町のどこよりも明るく輝いて、陽気な喧騒に包まれます。
解説
夢の舞踏会は、グランマの友人である旧王族の女性のため、彼女に最期の夢を見せるためのものです。
PCたちが作成した道具が使われている様子を描写し、貴婦人の大切な夢を叶えたことを示しましょう。

舞踏会の終幕

さて、ずっと夜が続くこの町にも、ほんの一時、地平線の向こうが明るくなる時があります。
わずかな日の出がこの町の灯りを掠める時、それが夢の舞踏会の終わる時。
過去の影は次々と礼をして大広間から去っていき、最後には笛で呼ばれた紳士と、貴婦人の魂が残ります。

ルドヴィコ「楽しかったようで何よりだ。この子たちのおかげだよ」

彼らはグランマの言葉を聴いて頷き、魔法使いたちを振り返ってにこやかに礼をすると、そのまま……大広間から去っていきました。
解説
本来、幽体離脱の霊薬は一時的なものですが、貴婦人はそもそもが非常に高齢なため、舞踏会に参加したことで完全に魂を手放す……というのが、このシナリオの基本エンディングです。
バッドエンドが苦手な人がいるようであれば、最後に貴婦人の魂を体に戻し、「見違えるように元気になった」というエンドにしても良いでしょう。
いずれにせよ、夢の舞踏会の閉会を見届けた時点で、このシナリオも閉幕します。

日の出の描写については、スムーズに閉幕するために盛り込んでいますが、旅先表の描写とやや矛盾が感じられるかもしれません。
これについては、「日々のわずかな日の出を日の出とみなさない/年に数回、もっとまともに日が昇る日がある」という設定で考えています。
「時代によって地理的条件がやや変わっている」という解釈でもOKです。

ラムペリエスに限らず、旅先表の町を使って遊ぶ時は、Wikiのテキストと多少の矛盾があっても全く問題ありません。
自由に行きましょう!

最後に

シナリオの基本想定だと、見方によっては「グランマが貴婦人の命を奪った」ともとれる話です。
シナリオ上は、貴婦人本人のたっての頼みで、グランマが一人で実行しようとしたものの、さすがに手が足りなかった……という背景を想定しています。
また、少なくとも、この時代の、この町では、グランマの行いが人々に知れたとしても、大々的に罪に問われることはない、と設定しています。
(人々の間で色々な意見が出るだろうことは想定されます。)

そのあたりの配慮や整合性が面倒に思えてきたら、貴婦人を元気に生還させましょう。

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