TRPG「魔法使いと工房と庭」のルールブックwiki。魔法使いとなって自分の工房と庭を構え、依頼をこなして成長していくゲーム。

シナリオ概要

追加ルール「めくるめく魔法使い」を使用したセッションのためのシナリオです。
このシナリオでは、突然の嵐で飛ばされてきた記憶喪失のNPC(外見も本来の姿とは異なる)が登場し、PCたちが製作した魔法の品を使って、自身の記憶と本来の姿を取り戻す話です。

同伴するNPCが活動的であり、エンディングは参加型というより見守る形になるため、PC人数が少なくても大丈夫でしょう。

本ページは「すぐに使えるシナリオテキスト」を主旨として、コピー&ペースト可能なテキスト集として書いています。
細かい部分は、お好みで自由にアレンジしてお使いください。

シナリオの舞台について

シナリオの舞台は、「はじまりの町プランタン」、ソロプレイ用ルール「旅の魔法使い」で設定されている「旅先」の一つです。

【はじまりの町プランタン】(移動必要額150G)
大樹に囲まれた窪地の中心にある賑やかな町。狭い路地裏を各種魔法具の専門店が埋め尽くし、揃わないものはないと言われる。鋭い目をした穏やかな老婦人、グランマ・ペトラが魔法使いたちを取りまとめている。

  • 魔法商業の町
アルズガルムの町の中でも、最も一般的な「ファンタジーの町」という主旨の町です。
表通りにはデパート、裏路地には個人営業の魔法商店がたくさん並んでいて、あらゆる魔法道具を目にすることができます。

  • 初心者の町
この町の《魔法使いギルド》は未熟な魔法使いの育成に力を注いでおり、厳格なグランマの指導のもと、多くの駆け出し魔法使いが滞在しています。
初心者の魔法使いが居場所を得やすく、サポートする人員も多くいますが、グライツェンのように学校制ではなく、実務による修行や徒弟制度が主流の世界です。

  • 嵐の多い町
後述のとおり、町を囲んで立ち並ぶ魔法樹の影響から、頻繁に嵐が吹き荒れる町です。
町に長く住む人は嵐に備えて暮らす術を身に着け、天気予報のチェックを欠かしません。
嵐のたびに奇妙な飛来物がもたらされるため、魔法使いにとっては仕事のチャンスに恵まれた町でもあります。

物語の導入

物語の始まり〜依頼パート

本日の舞台は、はじまりの町プランタン。
狭い路地裏に魔法道具屋が犇めく独特の街並みで、アルズガルムの魔法商業の中心地。

非常に活気のある町ですが、嵐の多い特殊な気候に悩まされる町でもあります。
町を囲んで立ち並ぶ、巨大な魔法樹の影響……というのが有力な意見ですが、はっきりした原因は不明。
数日おきに吹き荒れる嵐は様々な飛来物は何かと悩みの種になりがちで、「雨が止んだら、かき入れどき!」が、魔法使いたちの合言葉です。

さて、とある大嵐が過ぎ去った次の朝、《魔法使いギルド》の応接間から、本日の物語が始まります。
招集に応じて集まった魔法使い二人が目にするのは、鋭い目をした老齢の婦人、グランマ・ペトラ。

ペトラ「おかけなさい。」

魔法使いたちが部屋に入ると、凛とした声で告げられます。
解説
本シナリオは「はじまりの町プランタン」が舞台ですが、旅先表の記述にない要素をメインに据えています。
魔法樹はエンディングでも出てくるので、気候を説明するついでに、さりげなく存在に触れておきましょう。

気候の説明がやや長くなるので、あまりグランマや室内の描写に凝ると話が進まなくなります。
導入部では触れずに飛ばすことをお勧めします。暇を見て、ほどほどにどうぞ。
グランマ・ペトラのイメージは「今も昔も凛とした美人、厳しく鋭い雰囲気ながら穏やかな人柄の老婦人」です。

依頼パート

NPCの登場

ペトラ「今日集まってもらったのは、昨日の嵐で飛んできた方の手助けをするためよ。」

そう言ってグランマがパチリと指を鳴らすと、その隣に突如として一人の青年が姿を現します。
派手な色のシャツにぴちぴちのズボンを身に着けた、垢抜けた青年がサンドイッチを両手に持って、目を丸くしています。

派手な青年「えっ……あれっ僕、おひるごはんを、いただいてたんだけど。」
ペトラ「3度目の昼御飯は、昼御飯と言いません。」
派手な青年「昼に食べてるんだから、昼御飯じゃないか。回数じゃないさ。」

見ればそこそこいい年齢と思われる青年ですが、子供のように頬を膨らませてサンドイッチにかぶりつきます。

派手な青年「これは黒猫通り3丁目の裏にあるオープンカフェで食べていたんだけどね!ベーコンがたっぷりで、すごく美味しいんだ。」

性根が悪いわけではなさそうで、魔法使いたちに熱いサンドイッチ談義を投げかけてきます。
解説
物語の中心となるNPCを登場させます。
NPC「王子」は、本当は人間ではなくカエルなので、微妙にカエルを思わせるRPを挟んでもいいでしょう。
「派手な見た目で食欲旺盛な軽い性格だが、気立ては良く、実際に王族なので失礼な言動もあまりしない」というのが、基本の想定です。シャツは蛍光ピンク。

NPCの性格や正体は丸ごと置換可能ですので、GMのお好みでアレンジしてOKです。

依頼品、支給品の提示


ペトラ「はあ……まあ、この人なのですが、昨日の嵐で飛んできて、《魔法使いギルド》の屋根に引っかかっていました。」
ペトラ「記憶がなく、拠り所がないというので一時預かっていますが、このままここに置く道理はありません。」

(依頼品の提示)

淡々と依頼内容を告げると、グランマはまたパチリと指を鳴らします。
テーブルの上、青年が食べこぼしたパン屑を避けた位置に、支給品が出現します。

(支給品の提示)

ペトラ「支給品は以上。では、お願いします。ああ、そう、それと」
ペトラ「あなた、暇でしょう。付いていきなさい。」

派手な青年「ええっ??ええっ…これからデザートを…」

ペトラ「色々な魔法を間近に見て歩き回れば、記憶を取り戻す助けにもなるでしょう。」

派手な青年「……ってことだ。よろしく。僕のことはそうだな、王子って呼んでよ!」
派手な青年「なんだか、そう呼ばれていたような気がするんだ!」
解説
依頼品、支給品を提示し、NPC王子を同行させます。
王子は魔法使いではないので、基本的に手伝いができません。RP補助と、描写に変化を与えることが同行の目的です。

GMは以下の表から任意の品を選んで、依頼品として提示してください。
初心者PLが相手の場合、各PCの実力が発揮しやすい=精錬設備でプラス補正を得られるものを提示すると良いでしょう。
特に考えないで提示してもそれほど大きなデメリットはありませんが、依頼をする側としては、得意な人に頼む方が自然です。
種別依頼の品支給品
魔法具失くした記憶を思い出す魔法具【思い出のオルゴール】古びたオルゴール
霊薬変化の魔法を解く霊薬【真実の薬】333年物のオールドワイン
使い魔迷子を家に送り届ける【犬のおまわりさん】セントバーナード1匹

補足

ペトラ「この方、どうも元の姿とは違う形になっているようなので、戻してから帰す必要があります。」
ペトラ「この町の嵐は魔法の断片を大量に吹き付ける。たまには、こういうこともあるのです。」
ペトラ「この方が報酬を支払うのが筋ですが、ひとまずはギルドが立て替えて支払いますので、そこは安心してください。」
解説
会話の流れに応じて、必要であれば事情を補足しましょう。

移動中

1回目

この町の《魔法使いギルド》は、町の中心の広場に面しています。
そこからいくつかの大通りへと道が分かれ、大通りの途中にある脇道を入っていくと、魔法店が犇めく裏通りへ。
裏通りでは、それぞれに独特の店構えをした小さな魔法具店がずらりと並んでいます。
青年は物珍しそうに店をのぞき込みながら、落ち着きなく話しかけてきます。

王子「ねえねえ、あそこで光るのは魔法かな?それともただのランプ?」
王子「あっ、箒が勝手に掃除してるぞ!魔法だな、あれは魔法だな」
解説
王子には町の様子に興味を持たせ、間接的に描写をしていくと良いでしょう。
プランタンは魔法がいっぱいの個人商店が路地に並ぶ町ですから、自由にお好みの店を登場させましょう。
魔法の杖ショップ、特定の動物専門の使い魔ショップ、おまじない化粧品店、一見さんお断りの呪術道具屋、などなど。

2回目以降

PCの住んでいる場所に合わせて、自由に描写しましょう。
アドリブに自信がない場合は、住んでいる場所の希望を事前にPLに聞いて、準備してみましょう。

採集〜精錬パートについて

イベントダイス
アレンジルール「めくるめく魔法使い」により、各自の庭に入る前にイベント発生の判定が行われます。
イベントダイスは、比較的忘れやすいので注意しましょう。

NPCの使いどころ
ダイスの判定によって何が起こるかはPLの設定次第。
王子のRPでは、見るもの全てに驚かせ、庭で起こっていることに積極的に参加して(しかし手伝いはせずに)盛り上げていきましょう。
設定のすり合わせ
本シナリオでアレンジルールを採用する名目は、「魔法の力を孕んだ嵐によって、町だけでなく魔法使いの庭にまで影響が発生したため」です。
普段は変化に乏しい庭を持つ魔法使いでも、めくるめくイベントが訪れる特別な機会である……として、PCの設定と合わせていきましょう。

納品パート

納品場所への移動

あとは《魔法使いギルド》に戻るだけとなったところですが、どうやら今日も風が強くなってきました。
空模様を察した裏路地の商店が、バタバタと軒先を片付けています。

王子「おっ……嵐かな?雨の匂いがするぞ」

王子は覚えのありそうな顔で空を見上げますが、ビュウッと拭いた風に顔面を煽られてのけぞります。

王子「おうっ この風っ やばい飛びそう!」

魔法使いたちが嵐の兆しを感じて足早にギルドを目指していると、パチリ、と耳元で何かが鳴った気がします。
次の瞬間には、見覚えのある応接間。全員、ソファに座ってグランマ・ペトラと対峙しています。

ペトラ「ご苦労様です。依頼は順調に終わったようですね。」

ペトラがもう一度パチリと指を鳴らすと、テーブルの上にティーセットが現れます。
ポットがひとりでに浮きあがって全員分のお茶を入れ終わると、グランマが片眉を上げて全員を見渡します。

ペトラ「どうぞ、お飲みなさい。」

王子「いただきます!!」

ペトラ「さて、納品の確認をしましょうか。ああ、飲みながらで構いませんよ。」
解説
再びの嵐の到来を示し、グランマのもとへ移動します。
ダレないようにするためですので、時間に余裕があれば、良い天気の中でゆっくり散歩しながら戻っても構いません。
王子が記憶を呼び覚まされるRPをするのもいいでしょう。

エンディング

ペトラ「さあ、そろそろご自分の素性を思い出してもらいましょう。」

グランマが【思い出のオルゴール】を開き、茶菓子を食べる王子の前に置きました。
やわらかな音色が聴く者の記憶の蓋を開き、過去の思い出をそれぞれの脳裏に再生していきます……
真正面でオルゴールの回転を見ている王子は、徐々に、はるか遠くを見るような視線に。

足元に控えていた使い魔【犬のおまわりさん】は、西の方角を目指してスッと立ち上がりました。

王子「ああ、僕、僕は……魔法樹の中でも千年を超える樹齢のあの樹、西のアルナダの樹で生まれたんだ」
王子「樹のうろに溜まった雨水に泳ぎ、清廉な魔法の息吹を肌に感じて大きくなった……」

王子「僕は思い出した。僕は、アルナダの魔法樹の枝に暮らすカエルの一族、その王子。」

晴れやかな笑顔で言い放つと、王子はテーブルに置かれた【真実の薬】を手に取って一息に飲み干します。

蛍光ピンクのシャツが一陣の風に翻り、その場にひらりと舞い落ちて……
ソファの上には、輝く王冠を戴いた小さなカエルの姿。

カエルの王子「げこげこ!」

ペトラ「無事に帰るべき場所を思い出したようで、何より。」
ペトラ「アルナダの樹腕、その一端を守るカエル族の王子となれば、一息で帰すわけにもいきませんね。」
ペトラ「天翔ける馬車を出しましょう。あなたがたも、樹上の世界を見てきますか?」

ペトラ「よろしい。失礼のないようにお送りしなさい。」

グランマは僅かに微笑みを浮かべ、使いを呼んで馬車の手配を始めました。
これから皆さんは、天馬に牽かれた馬車に乗り、新たな世界を目に焼き付けてくるのです!
相変わらず食べてばかりのカエルの王子の話し相手になりながら、それはもう、めくるめく魔法の風景を目にすることでしょう。

しかし、その様子は、また別の物語。
今夜の物語は、これにて、おしまいです。
解説
依頼品により、王子が本来の姿を取り戻す様子を描きます。
プランタンの町は魔法樹に囲まれた盆地に位置しており、その西の大樹に住んでいた妖精カエル族の王子が嵐に乗って飛来した……というのが、この物語の真相です。
このシナリオでは、「プランタンを囲んで立ち並ぶ魔法樹には、たくさんの妖精や精霊、魔法に関わる様々な生命が棲み暮らしている」という設定を下敷きにして、話のついでに提示しています。

最後に

このシナリオでは、同行NPCの設定が肝になります。
話に絡めて設定を出していくことで、描写だけでなくRPで世界観を語ることができるでしょう。
GMの趣味の出しどころですので、ぜひ、自由にアレンジしてください。
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